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  1. 愛知県議会 2019-11-15
    令和元年福祉医療委員会 本文 開催日: 2019-11-15


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和元年福祉医療委員会 本文 2019-11-15 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 20 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  【加藤参考人選択 2 :  【永井雅彦委員選択 3 :  【加藤参考人選択 4 :  【永井雅彦委員選択 5 :  【加藤参考人選択 6 :  【永井雅彦委員選択 7 :  【加藤参考人選択 8 :  【永井雅彦委員選択 9 :  【医薬安全課主幹医薬)】 選択 10 :  【永井雅彦委員選択 11 :  【富田昭雄委員選択 12 :  【加藤参考人選択 13 :  【川嶋太郎委員選択 14 :  【加藤参考人選択 15 :  【谷口知美委員選択 16 :  【加藤参考人選択 17 :  【谷口知美委員選択 18 :  【加藤参考人選択 19 :  【谷口知美委員選択 20 :  【加藤参考人】 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 《参考人意見陳述》 【加藤参考人】  ただいま御紹介をいただきました名古屋税関加藤です。よろしくお願いいたします。  愛知県議会及び愛知県民の皆様には、常日ごろから税関行政、特に密輸取り締まりにつきまして御支援、御協力を賜りまして、まことにありがとうございます。この場をおかりして御礼申し上げます。  さて、本日ですが、福祉医療委員会において海外からの不正薬物密輸の現状を御説明できる機会をいただきまして、まことにありがとうございます。短い時間ではございますが、皆様のお役に立てればと思っておりますので、よろしくお願いします。  また、税関の業務についても若干説明させていただきまして、既に御承知とは思いますが、いま一度、税関の役割というものを認識していただければと思います。  それでは、御説明させていただきます。  資料2ページの税関とはというところからです。  税と関というのがありますが、税は輸入貨物に課せられる税金を、輸入通関のときに徴収、また、輸入許可後に輸入者に対し税務署と同じように立ち入りをしまして、その輸入申告の内容が正しいかどうかを確認するなど、適正な税金の確保を担う官庁という意味で、経済官庁、歳入官庁という一面があります。昨年度ですと、国税収入の約14パーセント、9兆円程度を全国の税関で徴収しており、名古屋税関管内では約1兆円を徴収しました。  次に、関は日本と外国とを行き来する貨物の関所となり、貨物の輸出入申告が法律に沿って適正に行われているかを確認し、また、不正薬物、拳銃、不正商品等の不正輸出入を水際でせきとめる関所といった意味です。  税関は、財務省の一機関です。ただし、行政官庁ですので、警察のように人を逮捕する司法権限は持っていません。それから、税関は関税法の範疇の中で仕事をしている官庁です。  実際は何をしているかというと、外国と日本を行き来する物、有体物に関する官庁と理解していただければと思います。皆様が海外旅行に行かれて帰ってきたときに着ている服、靴、着がえ、土産、これらは全て有体物ですので税関の範疇に入ります。この中で違法なものがあれば税関がストップする役割と考えていただければと思います。  まとめますと、税関は、物に関する輸出入手続の日本国内での最終チェックポイントです。  本日は不正薬物の密輸の御説明ですので、税関職員が密輸を発見した際の権限をお話しさせていただきます。  税関職員は、先ほど申し上げました関税法の中で、検査権限が与えられています。これは、例えば、皆様が外国から帰国されたときに、皆様の荷物について質問する権限、検査する権限、不正なものが見つかった場合の差し押さえや任意提出などの権限があります。また、裁判官による令状による捜索、差し押さえ、質問調書の作成なども権限として与えられています。  ちなみに、関税法の中では、拳銃も所持することができますが、関税法自体が古いものですから、拳銃については、戦後の動乱期が終わったときに鉄鋼炉に突っ込んだと聞いております。  ただし、先ほど申し上げたとおり、司法権限、いわゆる逮捕権限はありませんので、その必要があるときは警察、麻薬取締官、海上保安庁と一緒に仕事をさせていただいて、逮捕していただくといったことをしております。  税関は、外国と日本を行き来する物に関する官庁と申し上げました。では、この物の行き来がどのように行われているかということで、3ページをごらんください。  左上のほうに輸出入貿易貨物とあります。いわゆる外国と行き来する正常な貨物、これが一つにあります。二つ目として、船舶等の乗組員、また、クルーズ船のお客様が持ってくる手荷物なども物の行き来に入ります。三つ目として、これが一番皆様には大きいかと思いますが、左下の入国者で、皆様が買ってくるお土産なども入ります。  ここで、入国者の手続について若干御説明したいと思います。
     まず、皆様が日本から出国するときは、旅行会社のカウンターに行き、チェックインします。それとともに、例えば大きなスーツケースですと、それを航空会社に預けます。その航空会社に預けたスーツケースは、飛行機に積み込まれます。それとともに、皆様がハンドバッグとかセカンドバッグを持って、今度は出国手続に入りますが、初めに手荷物検査があるかと思います。それとともに金属探知機をくぐるかと思います。よく間違えられますが、これはセキュリティーチェックといいまして、テロ防止のために航空会社がみずからやっているもので、ここは税関ではありません。それが済むと、出国審査をして、出国印を押していただいて、免税売店で楽しい買い物をして、飛行機に乗っていくといったことで、出国のときに、基本的に税関は皆様とはかかわりはないと理解していただければいいかと思います。  今度は、帰国になりますが、皆さん、飛行機からおりますと、検疫を受け、まずは体調のチェックをしていただくことになります。これは厚生労働省です。それを通過しますと、今度は、入国審査で入国印をパスポートに押していただくということになります。3番目に、税関の手荷物検査ということがあります。皆様が飛行機の中に預けたスーツケースを回っているところから引っ張り上げて、台のあるところに行くと思います。そこが税関です。そこで手荷物に一定の免税範囲がありますので、例えばウイスキー3本の免税範囲のところを5本買ってきたら、2本の納税をしていただくといったところで、ここで税関は密輸を見つけるということになります。これが入国者の一連の流れでございます。  物の行き来に戻りまして、四つ目は国際郵便物で、ここでも貿易貨物とか、個人でインターネットで頼んだ荷物というのが郵便で送られてくるということになります。  それから右下、あってはいけない密輸、大体この五つの流通経路があります。  貿易についてお話しさせていただきますと、まず、輸入ですが、大きな外国貿易船や航空機に積まれてきた貿易貨物は、船卸されますと、保税地域に入ります。この保税地域に入っているときには、先ほど言いました輸入税や消費税はかからず、ここに入れておいてあるところで税関手続をしてください、他法令のいろんな法律の確認をしてくださいというところです。  それが済むと、税関に対して輸入申告、税金がかかるものは納税、それから許可と進みます。輸入申告の中で書類審査を行い、怪しい貨物については検査を行います。許可がおりますと、保税地域から搬出されて販売消費されるというのが大きな物流の流れです。  では、このような物を管理する税関の大きな使命は何か、4ページをごらんください。  税関には、三つの大きな使命が与えられています。一番左の安全・安心な社会の実現の中には、社会悪物品、いわゆる不正薬物、拳銃、それから知的財産権侵害物品、いわゆる偽商品の取り締まりというものがあります。私が所属する調査部は、これらの法令違反品の犯罪の調査を行う部です。それから、安全・安心な社会の実現でございますので、テロ、大量破壊兵器、これらの取り締まりも行っています。それから、後で少し御説明させていただく先端技術を活用して社会悪物品を食いとめるということも考えています。  真ん中の適正かつ公平な関税等の徴収には、関税・消費税等の賦課・徴収、輸入申告に対して、事後、輸入者のところへ行って納税が正しいかどうか確認する輸入事後調査等があり、これも調査部の所管です。  それから、三つ目に、貿易円滑化の推進というものがあります。  まず初めに、貿易自由化と自由貿易協定等の締結ということで、ことしの初めぐらいに話題になりました日EU・EPA(経済連携協定)というものを聞いたことがあるかと思います。スーパーに行きますと、フランス産のワインが安くなりました、関税無税になりましたといわれるのは、この貿易自由化によるもので、関税を下げていくということを行っています。TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、これも同じような意味合いでございます。  それから、AEO制度というものがあります。これは、各輸入者や国際貿易に携わっている会社のコンプライアンスが確立されていれば、その企業は税関手続を簡素化して電子化、迅速化のメリットを与えて、国際貿易間の物品の円滑化を図るというものです。  私は調査部長ということで、法令違反の犯罪調査や納税が確かかの輸入事後調査をつかさどっています。  次に、日本の税関はどのように構成されているか御紹介させていただきます。5ページをごらんください。  管轄区域図です。日本を九つに分割しまして、北が函館税関です。何で函館かですが、これは最初に函館に開港して、函館に税関が置かれたからこの名称が使われていると考えていただければいいかと思います。  横浜税関と東京税関では、一部飛び地で東京税関になっています。これは成田空港です。  名古屋税関管轄は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県です。長野県は関東圏ですけど、どうして名古屋税関の管轄か、私も勉強しましたが、答えは出ませんでした。  それから、大阪税関、神戸税関、門司税関、長崎税関、沖縄税関で九つの管轄をしています。  全国の税関職員は約1万人で、名古屋税関は1,000人弱です。このような管轄はありますが、それぞれ各税関、人事交流も行われておりますし、薬物調査では、当然のことながら、全国の税関が一体となって取り組んでいることは申し上げるまでもございません。ちなみに、私も東京税関と門司税関に単身赴任をしていました。  それでは、東海を主に管轄している名古屋税関はどのような構成になっているかということです。6ページをごらんください。  名古屋税関は、名古屋港に、本関という本部が置かれています。そのほかに、外国貿易をする港、南から行くと津、四日市、中部空港、衣浦、蒲郡、豊橋の三河港、御前崎、焼津、清水、田子の浦、沼津、下田、ここら辺に税関の官署を設置しています。中部空港の中には、外国郵便物を扱うセクションもあります。  この中で、外国貿易に全く関係ない、飛行機の発着もない岐阜、諏訪、長野、浜松には何で官署があるかというと、先ほど物流の中で御説明しました保税地域が置かれていまして、ここを利用して輸出入取引をする企業がありますので、その利便性を考えて官署を設置しています。  ここまでが税関についての御説明で、次に、不正薬物の話に入っていきたいと思います。  先ほど申し上げた税関の三つの使命のうち安全・安心な社会の実現について、税関が国内流入を阻止すべき主な物品について7ページから御説明します。  一番目は、大きく不正薬物・金塊で、不正薬物については年間1トンを超える押収量です。それから、金塊、昨年ぐらいにニュースを騒がせましたが、10月からの消費増税でまた密輸がふえている状況です。この写真は密輸の一つの手口で、腹に覚醒剤を巻いてきたものです。  次に阻止すべき物品として、テロ関連物質があります。これは、来週に迫りましたG20外相会合や来年の東京オリンピック・パラリンピックに伴いテロなどが起こらないよう、そういうテロ関連物資の取り締まりを強化していかなければならないものです。  それから、知的財産侵害物品、いわゆるにせもので、これは種類が多いです。一番右の写真は、アップルの充電器のにせもので、中国から来ていますが、こういった偽商品ですと、発熱する、火事が起こるということがありますので、安全・安心な社会を築くためには厳しく取り締まっていかなければいけません。真ん中の写真ですが、中国でつくられた五輪のマークがついている偽硬貨で、裏側には平成32年と刻印が打ってありました。平成32年ということであり得ないですが、そういったにせものがもう既に中国から来ています。一番右は偽造商品券、これも中国から来ているもので、いわゆる知的財産権侵害物品以外にも、偽札やクレジットカードのにせものなど、いろいろなにせものが世界から日本に持ち込まれていますので、こういうものについても税関は取り締まっていかなければいけません。  あと、もう一つ、このごろ愛知県でも大きな問題になっている豚コレラ、最近名前が変わって、日本ではやっている豚コレラをCSFと呼ぶそうですが、この岐阜、愛知ではやっている豚コレラについては、ワクチンがあるそうですが、一方、今、中国や韓国ではやっている豚コレラのうちアフリカ豚コレラ、ASFと呼ぶそうですが、これには薬がないということで、動物検疫所が一生懸命外国からの肉類についての流入阻止を図っていますが、検疫だけで手に負えない部分については、税関でも肉類の流入ストップに近ごろは力を入れています。  それでは、本日の主たる御説明である薬物について、8ページをお願いいたします。  まず、税関が取り締まるべき不正薬物はどのようなものがあるか、大別しまして、一つ目として、左にあります個別の取り締まり法令で定められているものには、覚醒剤、大麻、アヘンという分類があります。  二つ目として、麻薬及び向精神薬取締法で取り締まるものには麻薬、いわゆる自然由来の麻薬類、それから、向精神薬、これについては乱用するといけないということで厳しく処方箋が出ているところは、皆さん御承知のところかと思います。それから、政令指定麻薬、いわゆる合成麻薬と呼ばれるものがあります。  三つ目として、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)の中には、いわゆる危険ドラッグがあります。これは、まだ法律で規制がされていないけれど、神経系に危害のおそれのある物質だと認定されますと、指定薬物としてこの法律で取り締まりが行えるようになります。この法律で指定したけれども、いまだに流通し、人間の依存性がある物質が合成麻薬に格上げされてきます。  種類数が書いてありますが、これは本年9月4日現在で調査したものですので、今ではもっとふえているかと思います。税関でよく押さえられるのは、指定薬物ではRUSHという、いわゆる性交行為に使うもの、それから1PLSDというものがよく見つかっています。  これより強烈な政令指定麻薬になりますと、よく芸能人が持っているのが発見されるMDMAとかMDA、LSD、こういったものがよく発見されています。  向精神薬については、ジアゼパムというものをよく税関では押収しています。  麻薬については、主に南米から来ているコカインが、今日本では密輸が多いです。  税関ではどうしてこれを取り締まることができるかいうと、覚醒剤や麻薬、向精神薬、政令指定麻薬、それから指定薬物までは、各法律によって輸入してはいけないというふうに規定されていますので、関税法でも輸入してはならない貨物になりますので、税関はこれらの貨物について輸入禁制品として取り締まりができます。  では、危険ドラッグについては、税関は何にもしないのかというと、そうではありません。危険ドラッグについても、大体悪いものですので、税関にまともに申告してくることはなく、申告行為のときには偽った品名で言ってきますので、この場合には無許可輸入ということで取り締まっており、不正薬物については大きく網をかけて税関が取り締まりできる体制になっています。  では、これらの薬物が年間どのくらい税関で摘発されているか、9ページをごらんください。この摘発件数等の表では、特に赤枠で囲まれた特徴的なことを御説明させていただきます。  まず、一番上の覚醒剤ですが、平成28年の全国の摘発数量が1,501キログラム、平成29年が1,159キログラム、昨年が1,156キログラム、本年は半年で既に1,460キログラムで、4年連続で1トンを超える、とても憂慮するべき状況です。  名古屋税関ではどうかというと、昨年が346キログラムで、港区で倉庫の中から見つかった340キログラムを加えた数字になっております。本年は、1月から6月で5.5キログラムという摘発状況です。  次に、下のほうの指定薬物をごらんください。  平成26年は件数なしになっています。いわゆる脱法ドラッグというものが、昔、問題になったと皆様の頭の中にあるかと思います。これではいけない、各官庁が連携して、警察、麻薬取締官、税関は連携して取り締まりを行いなさいということで、平成27年に、税関が取り締まりできるように、指定薬物を輸入禁制品に格上げしました。そうしたところ、全国で1,400件の摘発と、摘発が急増しました。  その上の麻薬を見ていただくと、麻薬の件数も平成26年の91件から平成27年には213件となっています。これは、脱法ドラッグを指定薬物に格上げしたことから件数がふえたのと同様に、指定薬物から毒性があるものを麻薬に格上げしたことから、件数が顕著にふえています。  では、昨年はどうかというと、指定薬物では、平成27年の1,462件から218件まで減っています。これは、警察、麻薬取締官、税関がどうにかして指定薬物を抑え込もうと頑張った結果と、私どもでは評価させていただきたいと思います。一方、麻薬についてはまだまだ減る傾向にない状況です。  令和元年では、1月から6月の合計で、既に1,581キログラムとなっています。また、この後に、全国の税関で既に500キログラムのヘロインを摘発する大きな事件があり、2トンを超えることは確実で、憂慮すべき時代が来ていると考えています。  次に、これらの薬物が主に世界のどこから来ているかを御説明させていただきます。  10ページの不正薬物の日本への密輸傾向です。まず、ロシアからは組織的な密輸は余りありません。オセアニアについては薬物の消費地で、日本へ組織的に送られてきていることはありません。  では、どういったものがどこから来ているか、ヨーロッパからは覚醒剤や合成麻薬、いわゆるLSDやMDMAが来ています。中東からは、覚醒剤とヘロインが来ています。アフリカからは覚醒剤や大麻が来ています。東南アジアからは覚醒剤が来ており、全国の税関で日に何件と摘発しています。南米からは覚醒剤とコカインが密輸入されています。  それから、ここ一、二年、税関で大きな問題になっていることとして、カナダやアメリカは、昔は薬物の消費地だったのが、今は供給地に変わっています。ここからは覚醒剤と大麻製品が大量に入ってきており、全世界から日本に向けて不正薬物が密輸入されている状況です。  ただ、ヘロインやコカインは、余り日本人には浸透しておらず、一番親和性があるのは覚醒剤だと認識しています。  では、このように全世界から密輸される薬物に対して限られた税関職員はどのような機器で対応しているか、11ページをごらんください。  まず、一番の主力が、エックス線検査装置です。左下の写真のものが、コンテナと言われる、国際貿易で荷物を運ぶ定番の箱型の運搬容器です。長さが20フィートのものと40フィートのものがあります。荷物を取り出してエックス線をかけていると時間の無駄なので、コンテナ丸ごと1本にエックス線をかけようということで、名古屋税関ではコンテナ検査センターというものをつくっています。また、コンテナ検査センターばかりで検査できるわけではありませんから、自動車に積んで移動できるエックス線検査装置も使っています。それから、事務所の中で使う固定式エックス線検査装置をあわせて、三つのエックス線装置を使いながら貿易貨物を検査しています。  12ページの左の写真は、皆さん御存じの麻薬探知犬です。麻薬探知犬は、においをかいで判断します。大麻などは、外国に行って、例えばクラブやバーで、周りの人が大麻を吸っていれば大麻のにおいが服につきますので、そうした場合麻薬探知犬は反応しますので、皆様には検査に御協力をいただくこともあるかと思います。  それから、今、一番威力を発揮しているのが、このTDS(不正薬物・爆発物車載型探知装置)です。不正薬物・爆発物を探知する機械を車に積んで、どこへでも行って検査に活用しています。これは、貨物の表面に残存する不正薬物や爆発物の痕跡である微量の粒子を判定することができる画期的な機器です。表面に痕跡があるから、税関職員はしっかり検査しなさいということを教えてくれる機器です。  ここまで、全体的な薬物密輸の現状と税関の検査機器を御説明しました。まだまだいっぱい機器はありますが、時間がなくなってしまいますので、いよいよ薬物の手口に入らせていただきます。  13ページの図は、先ほど物の移動はどのように行われるかというところで御説明させていただいたものです。まず、輸出入貿易貨物ではコンテナを利用した密輸が圧倒的です。また、この貿易貨物の内部にも隠してきます。飛行機の機内にも隠してくるものがいます。  2番目の船舶乗組員や入国者の方たちはどこから持ち込むかというと、手荷物の中です。手荷物のお土産に仮装して薬物を持ってくる、または、身辺に巻きつける、それから、身辺内に飲み込んでくるとか、女性の方だと膣の中に隠してくるというのもあります。それから、一般的なスーツケースを二重底にして持ってくるというものも特徴的な密輸の手段です。  貿易のところでは、輸入申告の際に、品物の名前を偽って輸入するということもあります。それから、保税蔵置場という、輸入手続を待っているところから強引に持っていくという手もあります。  国際郵便物は、封書から30キログラムくらいの重さのものまでありますので、30キログラムという荷物の中に隠してくることもあります。  それから、瀬取りというものがあります。これは、船舶同士が、領海内の沿岸から遠いところで会合をして、不正薬物を引き取ってくるものです。  それでは、個々の密輸事犯は、どういうものがあるかというものに入らせていただきますので、14ページをごらんください。  左の写真は、ナイジェリア来の木材をくりぬいて、中に覚醒剤を15キログラム入れてきた事案です。右の写真は、税関では有名な猫砂事件というもので、新しいタイプと旧タイプの猫砂を送ってきて、旧タイプの中に覚醒剤350キログラムを隠していたという事件です。  左上の写真のパネル部分を見ていただくと、横浜税関の下にいろんな名前が入っています。右下の写真にも、いろいろな機関の名前が入っています。警察、海上保安庁、麻薬取締官、税関、これらが協働して、大きな事案を情報の端緒から追っているということで、オールジャパンで取り締まり関係機関が一致団結しているという状況です。  それから、取り締まり手法として、一時的な受取人が本当の悪いやつではないだろうということで、猫砂事件のときには、コントロールド・デリバリー、いわゆる泳がせ捜査、追跡調査ということをやっています。これは、貨物を警察や麻薬取締官の支配下に置いて、貨物の行き先を、何カ所か転々としますが、それをずっと見張っていって、覚醒剤とかを取り出したところで捕まえるという手法です。これは国際条約で取り決められておりまして、日本国内でも国際条約に基づき、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律でこのコントロールド・デリバリーができるとされており、裁判所の許可状を取得した上で行っています。  ただ、このごろは密輸する側も少し何かあると追跡されているなと気づいてきており、捜査機関と犯人との化かし合いになっていることも懸念されています。  1枚めくっていただきまして、今度は、輸入航空貨物です。  これは中部国際空港で昨年7月に、マレーシア来のハードディスクの中に覚醒剤21グラムを隠していたのを摘発したもので、ハードディスクを解体していくと白い粉が出てきました。昨年7月以前は、普通のねじ回しでハードディスクが解体できたんですけど、一度見つかると、今度はねじ山をなくしたり、特殊なねじを使ってきたりと、税関が容易にあけることができない工作をするようになっています。  覚醒剤21グラムということで、個人で使うには量が多いです。1回0.03グラムと言われています。ただ、この量だと大量の組織的密輸ではなく、国内の外国人コミュニティーの中で売買される量ではないかと考えています。21グラムだと約700回の使用量ですので、個人的な使用とは思いません。  もう一枚めくっていただきまして、これは船舶乗組員を使った密輸事例で、名古屋港で中国来の覚醒剤10キログラムを摘発したもので、もう既に6年前の事件です。この事件については、私が調査指揮を行っております。真夜中に、覚醒剤を受け渡しする中国人乗組員が出てきて、これを追跡し、覚醒剤10キログラムを密輸入した現行犯で捕まえたものです。海上保安庁と協働で張り込みを行っていたもので、裏に暴力団の影が見えましたけど、結局、暴力団までは追えなかったという、少し残念な事案です。  この事件でも右下の写真にあるとおり、名古屋税関、第四管区海上保安本部、名古屋海上保安部、愛知県警察本部が連携しており、こういう大きな事件については、各機関が知恵を出し合って組織を壊滅していこうと連携を図っています。  右上の写真では、袋に緑色と茶色の色がついていますが、この船内では、ペンキ缶の中に覚醒剤を隠していたという供述が出ています。10キログラムですので、覚醒剤33万回分に当たります。  次に、17ページは、入国者の事例です。  一番左は、中部国際空港で平成31年3月に、タイ来の日本人が覚醒剤を持ってきたものです。自分の持っていたセカンドバッグの中の仕切りのところを切り取って、仕切り板の段ボールを抜いて、その中に覚醒剤約1,400グラムを入れてきたもので、この日本人は運び屋だったと考えています。  真ん中の写真は、中部国際空港で本年8月に、フランス来の男性が大麻樹脂を股間に入れていた事案です。麻薬探知犬が反応し、徹底検査したところ、大麻樹脂が見つかりました。  一番右は、中部国際空港で昨年12月、タイ来のタイ人男性が、合成麻薬であるMDMA2グラムを持っていたものです。初めは大麻樹脂かと思いましたが、分析したところMDMAでした。これは、スーツケース内に入れてあった靴の中にありました。2グラムですので、自己使用の範疇かと考えています。  次は18ページ、国際郵便物です。  左の写真は大麻草です。これは神奈川県の川崎国際郵便局で大麻草が見つかった事例ですが、この郵便物の受取人が愛知県内で、少し量が多いので、愛知県警と麻薬取締官と協働で事件処理をしたところ、合計8回密輸していたということで、日本人2人を逮捕した事案です。  右の写真は、ペルーから郵便で送られてきたバッグの中にコカイン990グラムがあったのが、中部国際空港にある国際郵便局で見つかった事例です。コカイン990グラムは、3万3,000回分という大量なものです。これは、ブラジル人2人を逮捕しました。  19ページは、先ほど申し上げました瀬取り、洋上会合です。これは、静岡県南伊豆町で本年6月に、覚醒剤1,018キログラムを摘発したものです。中国人を7人逮捕しています。  特徴的なものとして、右上の写真に船外機があります。写真だとよくわからないですけど、300という数字が見えます。300馬力の船外機を二つ積んでいるということで600馬力のエンジンで航行していました。船底も普通の船に比べて平べったいものを使用していましたので、ある船舶職員によると、時速100キロメートル程度のスピードが出るのではないかとのことです。このスピードとなると、税関や海上保安庁の現有の船では追い切れません。  この事件も、静岡県警、海上保安庁、麻薬取締官、税関が集まって取り締まりを行った結果、見つけました。二、三年前に、変な船がいるという垂れ込みの電話が一般の民間人から海上保安庁にありまして、それを端緒に組織解明を長年にわたりやってきた結果です。  20ページは、先ほど申し上げました、税関でも憂慮している大麻製品です。本年に入り、国内で大麻事犯が多発しています。税関でも相当数大麻製品が増加しています。  左上のマークにTHCと書いてありますが、テトラヒドロカンナビノールという大麻の幻覚成分を示すものです。これはカナダで合法的に売っていいですよというシールです。その右のCAというのが、アメリカのカリフォルニア州で合法的にTHCが入っている製品ですというマークになります。カナダやアメリカで合法的に売られていて、その種類としてチョコレート、クラッカー、ケーキ、グミ、このごろ問題になっているエッセンス、いわゆる濃縮大麻といったものがあります。右下の写真は、市販品の大麻ワックスのほか、お手製のTHC抽出物で、電子たばこを使って、いつでもどこでも手軽に吸えるものです。  これらを大麻入りと知らずにとりますと、気分を害し、体に障害が出てしまいますし、今後、これらを食べた若年層にだんだん大麻が広がっていくのではないかと、相当注意しています。  例えばチョコレート、これは約50グラムのチョコレートです。これに約100ミリグラムのTHCが入っています。100ミリグラムというと相当小さな数量ですから、これを食べたって関係ないだろうと考えるかと思いますけど、意識障害を起こすTHCの量が3ミリグラムと言われていますので、その33倍入っているということです。これを1枚食べれば相当な意識障害、幻覚作用があるのではないかと考えておりまして、こういったものも税関では、今後、強烈に取り締まって、若年層への薬物の浸透を何とか阻止していかなければいけないと考えています。  21ページでは、よくある密輸手口を御紹介させていただきます。  左上の写真は、入国旅客のスーツケースの二重底に入っていたものです。真ん中上の写真は、飲み込みといわれる、覚醒剤とかコカインを固めた繭玉くらいのものを飲み込む手法で、CTで撮った写真です。何回か体内で破裂して死んでいる例が世界でもありますし、関西国際空港でもあったと記憶しています。  左下の写真は機械製品の中に覚醒剤を入れてきたもので、機械の中ならエックス線が通らないと思ったのでしょうが、そんなことはありません。ちゃんと通ります。  真ん中下の写真は自動車部品に金塊を隠匿してきたものです。  右下の写真が、最近ちょっとてこずっているんですが、これはスーツケースの中敷きなんですけど、このプラスチック製品に初めから覚醒剤を練り込んで、成形して持ち込んでくる手口です。これはなかなかわからないので、さっき御紹介したTDSをフル活用しています。  22ページは最近の例で、豊橋港で本年8月にコカイン177キログラムを検挙したもので、ニュースでもいろいろ取り上げていました。海水口の取り入れ口、シーチェストと呼ばれるところの内側に隠してありました。  この177キログラムというのは、平成25年の横須賀沖に漂着したコカイン118キログラムを抜いて、過去最高だと自慢していたんですけど、先月、神戸税関でコカイン400キログラムの摘発がありまして、わずか2カ月で日本一をおりることになってしまいました。左上の写真を見ると、Cartierという落款が押してあるんですが、こういうコカインが178個入っていました。  これは完全に外国の組織の手口でして、ほかにも船体に溶接したり、コンテナに投げ入れたり、中南米でよく使われますが、自作の潜水艦でアメリカへ密輸を図ったり、自家用飛行機を使ったり、メキシコとアメリカの国境を越えるためにトンネルを掘って、アメリカ側へ密輸したりという手口が見られます。  以上で、私の御説明を終了します。御清聴ありがとうございました。 2: (主な質疑) 【永井雅彦委員】  全世界から日本に大量に薬物が密輸され、それも毎年どんどんふえている。需要と供給のバランスを考えると、個人でこれだけ使用しているとは思えない。日本に一旦密輸された後、日本国内で使う分と、また違う国に密輸される分があるのか。 3: 【加藤参考人
     日本に密輸された薬物のうち、覚醒剤は全て日本で消費すると考えているが、コカインは、あれだけの量を日本で使うとは思えないので、私的意見だが、第三国へ出ていく可能性はある。 4: 【永井雅彦委員】  薬物の密輸は、暴力団の資金源になっているのか。 5: 【加藤参考人】  外国人組織が密輸しており、恐らく暴力団も関係しているが、暴力団まで調査が入った事案がない。密輸事案については、基本的に外国人組織が密輸しようとしたところを国内の水際でとめたところで捜査が終わる。彼らは絶対に、上の組織のことは話さない。 6: 【永井雅彦委員】  エックス線でコンテナを検査するとのことだが、どのように密輸を見つけるのか。 7: 【加藤参考人】  コンテナの荷物の中に入れる場合、正常な商品の中に薬物を入れるので、そこだけ影がかかる。また、床や天井を二重工作して隠すこともあるので、エックス線を上と横で照射して、普通の貨物やコンテナと違う点はないか探し出している。 8: 【永井雅彦委員】  県では、県内の薬剤常習者や医療にかかっている人の数について、何らかの方法で把握しているのか。 9: 【医薬安全課主幹医薬)】  県警察本部の統計資料では、本県の昨年の麻薬覚醒剤事犯の検挙者数、補導者数は、覚醒剤が856人、麻薬が33人、大麻が195人で、合計で1,084人である。 10: 【永井雅彦委員】  県警察本部の数字は、あくまで摘発された人数である。  県として、どれだけの人が影響を受けているのか、病院で治療を受けている人の数なども調べ、推移を把握してほしい。 11: 【富田昭雄委員】  大麻を使用する若者がふえていると聞くが、これは大麻そのものがたくさん入ってきているのか、売人など若者への流通経路がふえたのか、それとも、需要が大きくなったのか。 12: 【加藤参考人】  原因まで分析しているわけではないが、確かに大麻の密輸件数はふえてきている。資料9ページの表を見てもらうと、平成26年は99件で74キログラム、平成27年は122件で34キログラム、平成28年は118件で9キログラムで、小口に密輸されていることから、組織的な売買よりも個人やグループで密輸を行っていると考えている。したがって、件数がふえていることは、それだけ大麻を使っている人間がふえていると理解している。また、大麻製品がこのごろ異常な数でふえている。これは、危険ドラッグの規制が厳しくなっていることやインターネットの普及などで、大麻に手を出しやすい環境になってきたことが背景にあるのではないか。インターネットでの注文や支払いも、銀行を経由しない仮想通貨を使うなど、誰が注文・支払いをしたかわからないように取引ができる。 13: 【川嶋太郎委員】  オランダやカナダなど、合法に大麻を使用できる国が出てきたことで、それらの国で大麻に出会って、日本でも使用する人がふえてきているのか。  また、留学や旅行から帰ってきた人が持ち込んでいるケースはあるのか。 14: 【加藤参考人】  全世界で行われる大麻フェスティバルというものがあり、そこに日本人がいることは把握している。大麻フェスティバルがあった地域から帰ってくる人は、特別に重点的な検査を行っているが、そういう人は、大麻が日本では違法だと知っているので、買ってこない。あるとすれば、大麻の種を買ってくることである。 15: 【谷口知美委員】  大麻製品が合法の国では、どのような方法で入手できるのか。 16: 【加藤参考人】  医療用として処方箋があれば大麻草を入手できる州や、一定の数量以下であれば個人的使用は認める州があるため、税関として対応していかなければいけないと考えている。 17: 【谷口知美委員】  その情報は海外に行く若者には注意喚起がされているのか。大麻製品だと知らずに食べてしまう可能性はあるのか。 18: 【加藤参考人】  新聞を読んでいれば知っていると思うが、周知は余りされていないと考えたほうがいい。日本でも、大麻製品だと知らずに食べて体調を崩した女性のニュースを聞いたことがある。 19: 【谷口知美委員】  自動車に積んで移動できるエックス線検査装置は、どのような場面で使用するのか。 20: 【加藤参考人】  港の遠くにある保税地域で検査する場合に使用する。 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...